プラスチックレンズとガラスレンズの違い

2020.08.03

今回はプラスチックレンズとガラスレンズの違いについてです。

 

お客様から「プラスチックレンズを使っているが、レンズにキズがついたり、コーティングのヒビ割れができるんだよ…」というお悩みをよく聞きます。

 

まずは、素材の性質、正しい取り扱い方を知ることがメガネを長持ちさせる第一歩になります。

 

現在、どのメガネ屋さんもプラスチックレンズの販売で8割、9割占めているお店がほとんどかと思います。

プラスチックレンズが選ばれる理由として、『軽さ』『設計・コーティング・カラーのバリエーションが豊富』『割れにくい』『縁なし、ナイロールフレームの加工ができる』『UVカット付きがほとんど』があげられます。

ただ、『キズがつきやすい』『熱に弱い』『寿命がガラスより短い』などの短所があります。

 

対してガラスレンズの長所としまして、『熱、キズに強い』『耐久性がある』『強度近視の場合、プラスチックより薄くできる』『透明度が高い』などです。

ガラスレンズの短所は『重い』『割れる』『設計・コーティング・カラーのバリエーションが少ない』『枠のあるフレームのみしか作ることができない』などです。

 

ガラスレンズだと重くなるので、ハナパッドの後がつきやすかったり、あまり重いと痛くなったり、メガネが下がってしまったりします。

 

プラスチックレンズは軽いのに加えて、加工の自由さがあります。

ガラスレンズだと、作れるメガネがフレームの枠があるもの(メタル、セル)に限られてしまいますが、プラスチックレンズだと枠なし、ナイロールフレームまで加工の幅が広がります。選べるメガネフレーム、デザイン、ラインナップが断然多くなるのです。

 

総合的に見て、重くて割れる危険性があるガラスレンズよりも、軽くて、選べるフレームが多く、自由な加工ができるプラスチックレンズに軍配があがるようです。

 

続いて、プラスチックレンズを使用するのあたっての注意事項です。

短所であげましたが『キズ・熱に弱い』ことです。

プラスチックレンズは、どんなにキズ防止のコーティングのグレードをあげても、ぶつかったり、踏んでしまったら、キズはついてしまいます。

大事に扱うことが大前提なのと、日常のメンテナンスでキズの蓄積を減らすことができます。

 

メンテナンス カラ拭きは避けて、水洗いをする。

レンズが汚れたら簡単にティッシュペーパーやメガネクロスで拭いてしまっていませんか?

ホコリやゴミがついたままカラ拭きしてしまうと、キズがどんどん蓄積されてしまうんです。

一度、水でホコリ、ゴミを洗い流してから、ティッシュかメガネクロスで優しく拭き取りましょう。自然乾燥はレンズによくありません。古いレンズだと水のあとが残って取れなくなることがあるので注意しましょう。

水ではなくお湯で洗うのは絶対NG、クラックの原因になります。

メガネシャンプーや食器洗い用の中性洗剤を薄めて使っていただくと、より効果的です。

日常のメンテナンス メガネの水洗いを習慣づけてもらうだけで、レンズのキズは かなり軽減するはずです。

 

次に『熱に弱い』についてです。

プラスチックレンズに熱が加わるとクラック(ヒビ割れ)が起こります。

これは、レンズの基材は有機物で熱が加わると膨らむのですが、無機質であるコーティングは膨らまないので、そのまま破れてしまうんです。高温(55℃以上)の場所は避けてください。

夏の車に置きっぱなしにしたり、温泉、サウナ、ヒーター、ドライヤー、タバコの火、アイロン、ホットプレート、焚火、バーベキュー、料理していての湯気や熱、油はねにも注意してください。

 

それから急激な温度差も注意が必要です。

私の経験の話ですが、メガネ屋さんになる前に野菜、フルーツなどの青果物を取り扱う運送会社で働いておりました。

トラックに荷積みするのに、夏場30℃、40℃の屋外から青果物を保管する冷蔵庫へ行ったり来たりするのですから、当然急激な温度差です。

気が付いた時にはクラックだらけ(泣)

当時はレンズについて、まったく詳しくありませんでした。

 

そんな当時の私に言ってあげたい…プラスチックじゃなくガラスレンズのメガネにしなさいと(笑)!!

 

外での作業、暑い場所での作業をする方は、プラスチックよりもキズがつかない、クラックにならないメリットがあるガラスレンズがおすすめになります。

 

実際、今の私はプラスチックレンズとガラスレンズメガネの使い分けをしています。

月に1~2回くらいサウナに行くので、温泉・サウナ用にガラスレンズのメガネを使用しています。プラスチックよりは、やはり重いですが、高温のサウナでもクラックができない、少し荒く使ってもキズになりにくいように感じました。

プラスチックレンズだったら、クラックだらけになっていると思います。

使う環境によって使い分けるのが大事なのです。

 

日々の正しいメンテナンスのやり方、取り扱いを知り、使用する環境にあわせたプラスチックレンズとガラスレンズの使い分けをしていただくことによって、快適にメガネの寿命を長持ちさせることができるのです。

 

是非、プラスチックレンズだけじゃなく、ガラスレンズもお試ししてみませんか?